センシンレン(穿心蓮)について
・センシンレン(Andrographis Paniculata(BURM.f.)Nees)
センシンレンは、一年草で学名はキツネノマゴ科アンドログラフィス属パニクラータと呼ばれています。原生は南アジアで、インド、スリランカ、バングラデシュ・ミャンマー・タイ・カンボジア・ベトナム・マレーシアに分布し、自生しています。近年になってインド、中国の温暖な地域で栽培されるようになっています。
・センシンレンに含まれている成分
葉にはジテルペノイドラクトン化合物が含まれています。詳細な成分はアンドログラフォリド 1.5%以上、デオキシアンドログラフォリド 0.1%以上、ネオアンドログラフォリド 0.2%以上に加えホモアンドログラフォリドとバニコリドを含んでいます。さらにアンドログラフォステリン、β-シトステロール-D-グルコシドなどが含まれています。
このほか全草の分析では、14-デオキシ-11-オキソアンドログラフォリド、14-デオキシ-11,12-ジデヒドロアンドログラフォリドが検出されています。また簡易分析法からは、ステロイドサポニン、糖類、縮合タンニンなどのフェノール系物質も認められています。 『中薬大辞典』 1977年より。
・センシンレンが治療薬としてどのように使われて来たのか(歴史的背景)
センシンレンは、古代インドで5千年以上も前に行われていた伝統医学アーユルヴェーダにおいてカンジャンと呼ばれて下痢、細菌性赤痢に対する用薬とされ、また苦味強壮薬として様々な病気の治療として処方されていました。これがバングラデシュ・ミャンマー・タイ・カンボジア・ベトナム・マレーシアへと伝わり民間伝統医学、そして中国に伝来し中国伝統医学(中医学)の中で解熱剤・解毒剤として用いられ、また皮膚病・大腸炎・膀胱炎・気管支炎などの病気の治療に使われるようになって来たのです。ヨーロッパにおいてはスエーデンで20年以上前からエキス剤が風邪薬(Kold Kare)として一般的に利用されています。近年は、欧米において癌(がん)やエイズに対しても効果が期待され、その効果の検証が行われています。
・センシンレンがアーユルヴェーダ・中医学において用いられて来たその他の効用
皮膚疾患の治療、解熱作用、肝臓保護作用、胆汁分泌促進作用、止瀉作用(下痢止め)、抗炎症作用、呼吸器感染症の治療、抗ウイルス作用(ヘルペス)などが知られている。
・センシンレンの飲用法
細菌性赤痢、アメーバ赤痢、副鼻腔炎、中耳炎などにはセンシンレンの新鮮な葉を煎じて使われる。しかし、その多くは必要時にいつでも利用できるようセンシンレンの地上部である葉・茎を天日にて乾燥させ、適当なサイズに細かく裁断して煎じ薬として用いたり、細粉末状にして、これを直接飲んだり、錠剤として使われます。
しかし、センシンレンは苦味の王様といわれるので、これを飲みやすくするためカプセル化した形で使われるようになっています。
・健康食品としてのセンシンレンへの期待
センシンレンは長年の民間薬として単一植物でありながら様々な病気の治療に使われてきた歴史ある生薬です。今日では、炎症性疾患や肝障害の緩和、がん細胞増殖抑制などの薬理学的作用機序も解明されつつあります。これらはセンシンレンの主要成分であるアンドログラフォイドの効用と考えられています。
炎症性疾患や肝障害の緩和は、アンドログラフォイドの効用として白血球の食作用を促進することやグルタチオン増加による細胞の保護であり、腫瘍細胞に対しては細胞周期の停止や細胞内シグナル伝達誘導への直接関与することによるがん細胞のアポトーシス誘導による細胞死が解明されています。
センシンレンには、アンドログラフォイドのほかに上述した様々な成分が含まれており、これらの微量成分の効用、アンドログラフォイドとの相乗効果などによる効用に期待を持っています。